Be動詞:存在概念


1. 存在概念 (1):  [存在物] + BE + (場所)

Be動詞の最も根本的な用法は存在概念を表すことにある(この授業では「存在概念は be動詞のコア概念」などというように説明する)。したがって、【存在物 + BE + 場所】という構造で、「[存在物] は (場所) にある/いる」という内容を言い表すことができる。

1. 母は台所にいます。
→ My mother is in the kitchen.

in: 「空間内」を表す。

2. その本は机の上にある。
→ The book is on the desk.

on: 「表面接触」を表す。

3. その絵は壁にかかっている。
→ The picture is on the wall.

onは「表面接触」関係を表すので、3のように「壁にかかっている」場合や、「天井にくっついている/天井からぶら下がっている」ような場合にも使う。

4. 非常口はバスの後方にあります。
→ The emergency exit is at the back of the bus.

at: 「一点」を表す。一点とは「それ以上は細かく認識しない」という意味で、4では "the back of the bus"と言えば非常口の場所を聞き手が確認・想起できるという前提のもとで用いられている。

5. 鍵はすべて引き出しの中にある。
→ The keys are all in the drawer.

文法的には All (of) the keys are in the drawer.としても良い。ただし、主語名詞句 [all (of) the keys]から allが be動詞の後ろに遊離することで、the keysの「すべて」であることを指定すると同時に、「すべて(引き出しの中に)ある」のように、副詞的なはたらきを同時に担うことができる。

目次へ戻る


存在概念 (2): 場所の表し方のパターン

今回も【存在物 + BE + 場所】の構造をテーマに出題した。とりわけ【場所】の表し方のパターンに慣れ親しんでいただきたい。 また、【場所】の情報が未知で「[存在物]がどこにある/いるのか?」と相手に問いたいときは、"Where + BE + 存在物 ~?"の語順で疑問文を作る。

6. Maryは2階(上の階)にいます。
→ Mary is upstairs.

upstairsは副詞:前置詞を伴うことなく、1語で【場所】情報を担うことができる。

7. 下へ通じる道路はあちらです。
→ The way down is over there.

(over) there / hereも副詞。

8. 彼は外の庭にいます。
→ He's out in the garden.

英語の【場所】の表し方として、8のようにまず out「外」と漠然と言っておいて、その後で in the gardenと詳しい場所を述べる形がよく見られる。

9. A: ご出身はどちらですか? ー B: 北海道です。
→ A: Where are you from? ー B: I'm from Hokkaido.

"You are from [X: 場所]"という存在概念をベースとして、
未知情報 Xについて疑問詞の whereを用い文頭に移動させ: Where you are from X
主語 (you)と be動詞を倒置してwh疑問文を作る: Where are you from?

10. A: Larry(オス猫の名)はどこ? ー B: ここの机の上にいるよ。
→ A: Where is Larry? ー B: He's here on the desk.

8と9で学んだことを元に自ら検討せよ。

目次へ戻る


3. 存在概念の拡張→状態

Be動詞のコア概念である「存在」をベースに、"A is B"の構造における Bを、具体的な「場所」からより抽象的な「状態」に拡張することで、同じような文構造を用いて表現することができる。 今回は、「状態」を形容詞(句)および名詞(句)で表す要領を検討する。

11. フランスはワインで有名だ。
→ France is famous for its wine.

Franceが famous (for its wine)という状態の中に存在しているイメージ。

12. 姉/妹は17歳です。
→ My sister is 17 years old.

英語では年齢は be動詞を用いた「存在概念」をベースにして表現する。

13. 彼の母は医者です。
→ His mother is a doctor.

His motherが doctorという属性(職業)の一員として「存在」することを表す。

14. 今日は暑い(ね/よ)。
→ It's hot today.

日本語では、「今日は暑い」→ 独り言(あるいは口に出さずに頭の中で考えたこと) /「今日は暑い(暑い/暑いです…など)」→ 話し相手への伝達…といったように、終助詞のあるなしで響きが変わってくる。
一方で英語にはそのような区別はなく、"It's hot today."という状況認識が、そのまま情報伝達の際にも用いられる形となる。

15. その捕手はキャプテンです。
→ The catcher is the captain.

同一認定の be:「捕手=キャプテン」という関係を表し、知的意味としては "A is B"⇔ "B is A"の関係が成り立つ。

目次へ戻る


4. 存在概念の拡張→状態(2): 前置詞+名詞で「状態」を表す

今回は前置詞+名詞で状態を表す要領を学ぶ。1~2日目の【存在物 + BE + 場所】で学んだ英文の構造と比較してもらえば、「状態」が「場所」と類似したものとしてメタファー的に捉えられている様子が感じ取れるであろう。

16. 彼らは最近ストレスを抱えている(ストレス状況下にある)。 
→ They are under stress {lately / recently}.

日本語でも「ストレス(状況)」というのと同じ考え方。

17. その部屋は取り散らかっていた。
→ The room was in a mess.

部屋が「取り散らかった状態 (a mess)」の中 (in)にあるというイメージ。
messは一時的な状態で、整頓された (tidy)状態から切り離されて個別化できるものとして捉えられるため、可算名詞扱いで不定冠詞の aを伴って用いられる。

18. この試合には国の威信がかかっている。
→ The national honour is at stake in this game.

stakeは元々「棒・くい」のこと。火あぶり刑の際に棒にくくりつけらるイメージから、 at stakeで「(命運などが)かけられて・危険にさらされて・問題となって」という状態を表す意味を持つ。

19. なぜ彼女がそんなつまらない男と結婚することに決めたのか全く理解できない。
→ Why she decided to marry such a boring man is beyond me.

"I don't understand why she decided to marry such a boring man."と意味内容は同じだが、 "I don't understand"と断じてしまうよりも beyond meと言った方が「自分には理解できない何かがあったのだろう」という含みを持たせることが可能になる。

20. その案に賛成ですか、反対ですか? 
→ Are you for or against the plan?

for:「ハートのついた矢印」against:「握り拳のついた矢印」というイメージ。話題に上がっている案 (the plan)に対して、どちらの矢印が向かっている状況に聞き手 (you)がいるのかを問うている。

目次へ戻る


5. 存在概念の拡張→様々な「あり方」

"A is B"を基盤として、be動詞の表す「あり方」を特定の動詞で言い換えることができる。日本語では「立っている(様態:立って+存在:いる)」のように【様態+存在】は複合動詞で表されることが多いが、英語の場合は BE(存在)+ MANNER(様態: standなど)を表す際、MANNERを表す部分をそのまま述語動詞に併合することによって文構造を作り出すことができる。このような【基本概念(存在など)+様態】を様態部分に焦点を当てて表現する手法は、英語の動詞の使い方として極めて特徴的であるため、ぜひ習熟していってもらいたい。

21. その城は丘の上に立っている。 

→ The castle stands on the hill.

"The castle is on the hill."を基盤に、様態の「立っている」に注目して述語動詞に standを用いる。

22. その町はアメリカの国境から100マイル南にある。
→ The town lies 100 miles south of the U.S. border. 

"The town is 100 miles south of the U.S. border."を基盤に考える。単に be動詞を使うよりも、 lieで表すことによって「町の広がり」を感じられる言い方になっている。

23. グランドキャニオン (The Grand Canyon)は約300マイルに渡って広がっている。
→ The Grand Canyon stretches for about 300 miles.

これも22と同様、 stretchという動詞を用いることによって、グランドキャニオンが「伸びている」という広がりを意識した言い方である。

24. 彼はまだ両親と同居している。
→ He is still living with his parents.

存在概念に「住んでいる」という様態を付け加えると liveということになる。24は "He lives with his parents."「彼は両親と同居している」という単なる事実を表す文と比較すると、 stillの存在によって「本来なら親元を離れて独り立ちしても良い年齢・状況なのに」というニュアンスが強く打ち出されており、その意味で話し手が「一時的・いずれ終わる状況」と認識しており、それが現在進行形 (is living)に反映されている。

25. その容疑者は尋問の間黙秘したままだった。 
→ The suspect remained silent throughout the questioning. 

"A is (was) B"の「状態概念」を基盤に、remain(ed)を使うことでその状態を「保っていた」という様態に焦点を置いた言い方。

目次へ戻る


6. 存在概念の拡張→存在文 (There構文)

存在文(一般に There構文と呼ばれるもの)は、"There + BE + [存在物] + (場所)"の構造で「[存在物]が(場所)にある」という存在状況を表す。この文における存在物は聞き手にとって新情報であり、文法的には不定名詞句 (典型的には a+単数名詞無冠詞の複数名詞)で表される。新情報が文頭に来るのは情報処理の観点から好ましくないため、文頭には形式的な主語として thereを置き、後ろの真主語である不定名詞句を導く。

26. 屋根の上に一匹のネコがいる。 

→ There is a cat on the roof.

考え方としては "a cat on the roof"という存在状況(ものの存在)を丸ごと新情報として相手に提示する役割を果たす文であり、さしずめ「屋根の上にネコのいる、あり」といったニュアンス。

27. 角を曲がったところにガソリンスタンドがある。
→ There is a petrol station round the corner. [英]
→ There is a gas station around the corner. [米] 

(a)round the cornerと言うと「角を曲がってから視界に入ってくる位置」の意味合い。

28. 昔々、美しいお姫様が住んでおりました。
→ Once upon a time, there lived a beautiful princess.

存在文の基本構造は "There + BE + 存在物 + 場所"であるが、その中で「場所」の要素が伝達上で重要と見なされず背景化されると、より「存在」の概念だけに焦点が当たるようになる。28において情報として重要であるのは「美しいお姫様が住んでいた」という点であり、「どこに」住んでいたのかは物語として「あるところに (in a certain place)」で構わないため、場所は明示的に表されず、"There + {BE + MANNER: live} + 存在物"の構造となっている。

29. そこにはいくつかベンチがあった。
→ There were {some / several} benches there.

存在文の文頭に現れる thereは、あくまでも存在状況を導入する機能のみを持つ形式主語であり、「そこに」というような場所の概念を表すものではない。したがって、存在文で「そこに」という場所情報を明示する際には、副詞の there(内容語のため強形 | ðeə |で発音される)を別途用いる必要がある。

30. ヒースロー (Heathrow)行きのバスの便があります。
→ There's a bus to Heathrow.

存在文は、具体的に「何かがどこかにある」という存在状況だけでなく、30のように「サービスとして利用可能である」というような抽象的な存在状況も表すことができる。ここでも28と同様、「バスサービスが存在する」という存在部分にのみ焦点が当てられており、場所情報は30の文が発話されたところ(町・バス停など)として了承できるため、明示的に表される必要がない。

目次へ戻る


★無料★ メルマガ英作文講座として配信中!

ご登録はこちらのフォームから

  • メルマガ講座には復習時に例文の発音解説つき!
  • ガリレオ研究室メールマガジン The English Observatoryにも登録されます。ご不要な場合はメルマガ末尾よりいつでも配信解除することが可能です。
  • ご入力いただきましたメールアドレスは、プライバシーポリシーに従い適切に管理いたします。
  • 当サイトは、個人情報保護法等の法令に定めのある場合を除き、あらかじめご本人の同意を得ることなく、個人情報を第三者に提供いたしません。